体から魂が離れる、その一瞬にだけ開く風景
体から魂が離れる、その一瞬にだけ見える景色があるのだとしたら。
それは恐怖でも絶望でもなく、なぜか――美しい。
私が前世で見た「黄色い砂と赤い血」の風景
私が前世で死を迎えたとき、最後に見たのは、
「黄色い砂に、赤い赤い血が静かに染みていく風景」でした。
痛みも、嘆きも、もう遠くて。
ただ、その色の対比があまりに綺麗で、
「ああ、きれいだなあ」
それが、本当に最後の記憶として残っています。
娘が覚えている、炎に囲まれた最期の瞬間
不思議なことに、娘も前世の最期を覚えています。
彼女が見たのは、
自分を囲む炎が、ゆらめきながら立ち上る光景でした。
燃え盛る火でさえ、恐怖ではなく、
「美しかった」と、静かに話してくれました。
覚悟を決めたとき、世界は別の顔を見せるのかもしれない
覚悟を決めた瞬間にだけ、世界は別の顔を見せるのかもしれません。
立ち去る者に向けて、
この世がそっと差し出す、最後の贈り物のように。
生きているあいだには決して触れられない色、
決して見えない光。
それが、魂が体を離れる瞬間にだけ開く「風景」として現れるのだとしたら。
終わりではなく、次の世界への静かな道標
もしかすると、あの美しさは「終わり」ではなく、
次の世界へ向かうための、静かな道標なのかもしれません。
立ち去る世界が、最後に見せてくれる一枚の絵。
それを覚えているということ自体が、
この世界とあの世界のあいだに、
まだ細い糸がつながっている証なのかもしれない――そんなふうに感じています。

